温暖化による磯焼けの被害は大変深刻なものとなっています。今回は磯焼けから水産資源を守る取り組み、行政が行っている支援をご紹介します。
【写真:イカ柴】
地球の温暖化は、自然界に様々な影響をあたえています。海にもその影響はすでに現れており、海中の温度があがることで、珊瑚や海草が育たなくなり、海の砂漠化(磯焼け)が進行しています。また、生活排水や工業排水による汚染も原因の一つで、この磯焼け現象は日本全国34都道府県で見られ、いまや深刻な問題と化しています。
藻場の消失により海藻類(ワカメやコンブ)の採集ができなくなり、藻場で生活する水棲生物(アワビやサザエ等)、産卵場とするイカ類、あるいは磯魚(カサゴやメバルなど)などの水産資源が大きく減少しています。また逆にエチゼンクラゲやガンガゼ(食害植物/黒い体と異常に長い棘を持つウニの一種)の大量発生など海中の生態系は崩れ、海やそこにすむ魚、その魚を食べる私たち人間にとっても危機を迎えていると言えます。もちろん、漁業従事者にとって水産資源の減少は直接的な影響を与え、経済的にも大きな打撃を受けています。
五島列島も例外ではなく磯焼けの被害は大変深刻なものとなっています。そこで今回は私たち大浜海業振興会(大浜・増田漁業集落)が行っている磯焼けから水産資源を守る取り組み、行政が行っている支援をご紹介します。
イカ柴
【イカ柴投入の様子】 11月に入り、五島列島ではアオリイカ漁が始まりました。このアオリイカ漁において五島は全国有数の水揚げ高を誇るなど、アオリイカは五島の大切な水産資源のひとつとなっています。しかし、藻場の消失によりアオリイカの産卵場も減少。そこで藻のかわりとなる山柴を海底へ投下し、アオリイカの産卵床をつくる取り組みを行っています。これは通称「イカ柴」と呼ばれ春から初夏のアオリイカの産卵に先駆けて行われます。アオリイカはこのイカ柴にマメの鞘のような寒天質の卵鞘を一ヶ所に固めて産卵(*トップ写真参照)、20日ほどで孵化します。 |
種苗(クロアワビ)放流
【種苗(クロアワビ)】 アワビやサザエは水深5mから20m程の岩礁に生息し、アラメ、ワカメ、コンブなどの褐藻類(藻類の一群で、褐色をしているのが特徴)をエサとしています。磯焼けはアワビやサザエの住む場所を狭めるだけでなく、大量発生したガンガゼがエサとなる褐藻類を食い荒らすため、餌量不足を引き起こし、繁殖を妨げます。そこで人工孵化で生産したアワビの種苗放流を行い、資源の増大に努める取り組みを行っています。 |
海岸清掃
【海岸清掃の様子】 私たちにできるもっとも身近な取り組みです。海岸清掃は毎年海の日(2007年は7月16日でした)に近隣の住民や小学生の力も借り、一斉に行います。海岸に漂着するゴミはペットボトルや空き缶等、家庭用ゴミが多く、海外製品と思われるものも見られます。藻場や干潟再生のために様々な実験や取り組みが行われても、肝心の海が汚れていては海藻や珊瑚は育たず、魚介類は減少してしまいます。一人ひとりが「海にゴミを捨てない、持ち帰る」ということをこころがけることが海を守る第一歩だと考えます。 |
このような取り組みを行うにあたり私たちは行政より「離島漁業再生支援交付金」という支援制度を受けています。磯焼けの被害に加え、離島の漁業は、輸送の時間や費用、生産資材の取得など販売や流通の面で本土に比べ不利な条件下にあります。また、最近では漁業者の減少や高齢化といった問題を抱えています。この制度は離島にとっての大切な地域資源である漁場の生産力の向上を図りつつ、各島の特色を生かした地域の創意工夫により、離島の漁業の活性化を図る制度です。また、離島の漁業の再生を通じて、水産業や漁村の持つ良好な海域環境の保全や国境監視、海難救助、本土からの前進基地としてなど多面的な役割や機能の維持・増大も目的とされています。
大浜・増田漁業集落が行う離島漁業再生支援交付金制度対象取り組み/協定対象漁業世帯数(41戸)
漁場の生産力の向上に関する取り組み
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創意工夫を活かした新たな取り組み
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参考資料
- 離島漁業再生支援交付金実施要領
- 平成18年度長崎県離島漁業再生支援交付金の実施状況
- 「離島漁業再生支援交付金制度がはじまりました」五島市ウェブ
掲載日:2007年11月2日















