男女群島親子漁師

東シナ海に浮かぶ五島列島・福江島からさらに南南西約60km、黒潮の流れを受ける男女群島近海は、大型魚の宝庫である反面、遭難の被害も多く、地元漁師であっても漁をすることは難しいと言われています。そんな男女群島を五島一知り尽くし、漁場とする川村さん親子にお話をききました。

漁師インタビュー/男女群島親子漁師(川村悦実さん・功考さん)

【写真:明日の漁のために網を紡ぐ川村悦実さん・功考さん

漁師インタビュー第1回「男女群島親子漁師」/川村悦実さん・功考さん

 

この日男女群島で漁獲されたもの(一部)左からマグロ、クエ

【写真:この日男女群島で漁獲されたもの(一部)左からマグロ、クエ】

 

父:川村悦実さん

【写真:「男女群島での漁は簡単ではない」と語る父:川村悦実さん】

 

カジキ漁の様子

【写真:カジキ漁の様子】

 

息子:川村功考さん

【写真:「父を尊敬しています」と語る息子:功考さん】

-男女群島近海での漁を中心としているそうですが、具体的にはどういった漁をしていますか?

父:悦実さん(以下、父)雑魚刺網を中心にメジナ・タカベを漁獲しています。冬には延縄(はえなわ)でアラ(クエ)・カンパチ・マグロを、夏にはカジキマグロ漁をしていますが魚形は近海物に比べて大型の物が多く漁獲されます。また、8月から10月の伊勢海老シーズンでは網を伊勢海老用刺網に切り替えて伊勢海老も漁獲します。

息子:功考さん(以下、息子)男女群島での漁は1回4~5日かけて行います。(*船舶は寝泊りできるようなつくりになっています。)刺網を仕掛けた後、延縄漁や素もぐり漁、カジキ漁を行います。

*刺網漁とは海中に目の大きな網をカーテンのように吊るし、その編み目に魚が絡むのを待つ漁法です。一方、延縄漁は長い幹縄に針をつけた枝縄を大量に下げ、一度に多くの魚を釣り上げる漁法です。刺網は、夕刻に網を張り、翌日引き上げます。

男女群島では大物が多いそうですが

息子一般的な伊勢海老が400グラム前後にくらべて1キロ2キロといったものが獲れます。片手ではもてないくらいの大きなものがとれたこともあります。重さは3キロ前後でしょうか。1日最高800匹、重さにして1トンが最高です。

父カジキマグロは316キロが最大で、アラは36キロ級を一度に2本、釣り上げました。海亀やサメが仕掛けにかかったこともあります(海亀は丁寧に網からはずして、お神酒を与え、海に戻します)。男女群島は黒潮の流れを受けることやその環境から、たくさんの魚、また、その大きさも他に比べて大物が多く獲れます。そこが最大の魅力です。しかし反面、潮が複雑でガスもよく発生します。その上、浅瀬が入り組み狭く、波も高いため、漁は簡単ではありません。男女群島の海底の瀬や水深を知ること、船を操る技術、風や潮を読む力が必要となります。

吻が印象的な魚カジキも獲れるそうですがカジキ漁について教えてください。

父・息子カジキは波にのってヒレをだす瞬間、ヒレが光で反射します。泳いでいる深さによって、漁体の色が青や黒などに変化します。その波にそって船の舵をとり、カジキから見えない角度で後ろから近づきます。カジキマグロが水面に浮上すると魚体が茶色に変化するので、その瞬間を狙って銛でつき、しとめます。

*カジキ突棒漁は船首から3メートルにおよぶ棚を出し、そこから身を乗り出して銛でつきます。まさに海の上でカジキと一対一の戦いとなります。

漁のどういったところに魅力を感じますか?

息子カジキマグロのヒレを見つけた瞬間、武者震いがします。そのヒレを追いかけているときがいちばんワクワクします。銛ツキは魚体の色をよく見ます。タイミングは色の変化に合わせて銛を投げます。

親子での漁について

息子小さなころから魚が好きで、自然に漁師になろうと思いました。都会にでることや、他の職業を考えたことはありません。中学を卒業してから父と船に乗っていますが、一番初めは(父のように)魚が獲れるのかと不安と緊張でドキドキしました。

息子さんが漁師になると言ったときどう思いましたか?

父自分のように(男女群島で)漁ができるのか?やっていけるのかと思いました。漁師というのは好きばかりではやっていけない。(前述のように)海を知ることやカンといったものが必要です。息子は、海のこと、船のことなどまだまだ覚えなければならないことがたくさんあります。

お父さんを漁師としてどう思いますか?

息子尊敬しています。父は、魚はもちろん、潮や船、天候など漁をする上で様々なところに気をかけています。先を読んでいるというか。自分はこれからたくさんのことを覚えなければ父のようにはなれないと思っています。

最後に男女群島へ島外から釣りにこられるかたにワンポイントアドバイスをお願いします。

父大物を求めて、以前よりたくさんの方が釣りにこられるようになりました。男女群島は本当によい漁場ですので安全面に気をつけながら釣りを楽しむのはよいことだと思います。しかし、潜っているのでわかるのですがゴミの投げ捨てが多いのが現実で大変残念に思います。あれでは魚はいなくなってしまいます。

息子ゴミのない男女群島は「いない魚はいない」というくらい様々な魚がいます。それも大きい。見せたいくらいです。これから先も釣りを楽しんでいただくためにもゴミは持ち帰るというマナーをまもっていただければと思います。そうすれば今以上に大物を釣ることもできるのではと思います。

男女群島

【写真:男女群島

自然を守り、これから先も美しい海を残していきたいと私たちは考えます。「美味しい魚を獲って食べる」当たり前のことが当たり前にできるように。
五島を訪れる皆様にもご協力をおねがいいたします。

本当の海が味わえます。―― よかとこ、五島。

大浜海業振興会は体験漁の一環として川村さん親子をはじめとした男女群島漁師と行く「男女群島1泊2日船釣り体験」を企画いたしました。男女群島での釣りを体験してみてはいかがでしょうか?くわしくは詳細をご覧ください。

 

掲載日:2007年3月17日

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